« 「経済成長」と次世代へのツケ | トップページ | 毎日新聞に書評(『吉本隆明と「二つの敗戦」』) »

2013年8月26日 (月)

「Myaku」17号に『吉本隆明と「二つの敗戦」』書評

 「Myaku」17号(8月20日発行)に、拙著『吉本隆明と「二つの敗戦」』についての書評が掲載された。
 雑誌「Myaku」は、沖縄で「島尾敏雄論」などの評論や詩、小説を長年書いてきた比嘉加津夫さんが編集・運営する雑誌。「島尾敏雄と写真」、「今再び高木護」などの特集を毎号組んで話題を呼び、その持続的な活動は高く評価されている。
Myaku17  那覇出身の詩人「山之口 貘」を特集した今回の17号の書評コーナーに、「吉本隆明への入魂の讃歌であり、かつ決別の書でもある」というタイトルの拙著書評が掲載された。評者は松本輝夫さん。

 松本さんは、谷川雁との出会いが機縁でテック(のちのラボ教育センター)に入り労組活動で谷川と対峙したが、のちに経営参画。現在は谷川雁研究会代表、言語学者鈴木孝夫研究会(タカの会)代表などを務める御仁。これまで論じてきた谷川雁論をまとめて単行本にすべき作業に追われ、いまは多忙を極めているはずだが、「Myaku」側の依頼に応え、7ページに及ぶ渾身の批評を寄せてくれた。

(ここでは、三箇所だけフレーズを引用させていただく)

************
……、本書は、とよだの人生にあって多大な収穫とともに消し難い傷痕も残したにちがいないくだんの長期争議中を含めて長年にわたって大きな影響をうけ、精神の支えともなってきた吉本隆明への、彼の死をうけてのとよだならではの入魂の追悼とオマージュの一冊である。本書全体からとよだの真摯な謝念の声が聞こえてくるはずだ。
************

************
……、同時に本書は感謝の限りを尽くしての吉本讃歌であるとともに、その上での吉本との決別の一書でもある。こう評されることはとよだ本人にとってはもしかしたら不本意であり、抵抗感があることかもしれないが、よく読めば実質的には決別、あるいは恩返し的脱吉本の色合いが濃厚な吉本論になっているはずだ。そして、ここにこそ、つまりはこの二重性というか卓抜に均衡のとれた双面性にこそ、この一冊のかけがえなき特長と面白味、格別な存在理由があると言ってもいい。
************

************
とよだが、相当に長く親密な吉本との「心的価値」交換の歳月を経て、最後の吉本の到達点である「存在の倫理」の吟味も丁寧に行なった上で、その先に行かんとして、「贈与存在の倫理」へ! と高く志を打ち出した構えにも拍手を送りたい。
************

« 「経済成長」と次世代へのツケ | トップページ | 毎日新聞に書評(『吉本隆明と「二つの敗戦」』) »

コメント

吉本に影響を与えた最も重要な思想が『実存主義』である。「大衆の原像」という概念は、生の充実を与えることのできない知の虚しさに対する批判であり、自戒から生れたということは周知の事実である。国民とは自分自身のことであり、現にここにこうして生きている実感がある、対して国家は見ることも触ることも出来ない、ただ概念としてあるのみである。しかし、概念を生き概念に生きる知識人にとって概念を完全に消し去ることはできない。そこで、吉本が考えた姑息な戦術が自己幻想→対幻想→共同幻想という「程度問題」の提示である。吉本は「国民は国家のために死ねない」といって国民の実在性にこだわるが、「国民は国民のために死ねない」、生身の人間が自殺することもまた至難であるということを忘れている。こんな中学生レベルの単純なロジックがわかってはいない。

「国民は国家のために死ねない」VS「国民は国民のために死ねない」、さて、どちらが真実なのか?

一体、日本の知はどうなっているのでしょうか?

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/75319/53036745

この記事へのトラックバック一覧です: 「Myaku」17号に『吉本隆明と「二つの敗戦」』書評:

« 「経済成長」と次世代へのツケ | トップページ | 毎日新聞に書評(『吉本隆明と「二つの敗戦」』) »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ