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2011年2月 7日 (月)

牛タンとジャズの夜

 牛タンの店は仙台に数あれど、「太助」が一番と地元の人に教えられ、仕事を終えたあと、地下鉄勾当台公園駅で降りる。
 それらしい地点に行くがわからず、昔からの趣きある商店のご主人に尋ねると、道路まで出てきてくれた。
 「太助さんはね、二つあるけど、どちらのほう?」と訊かれ、よくわかりません、と答えると、「それじゃあ、こちらへ行ってごらんなさい」と道を教えてくれる。どうやらこのご主人は、案内してくれた店のほうに軍配を上げているようで、にやっと笑いながら道順を説明してくれた。それが「旨味太助」。
Tasuke_2  一人で暖簾をくぐったので、開いていたカウンターの隅に腰掛ける。
 あまりにも体が冷えていたので、まずは熱燗を頼むと、「牛タン焼きですね」と軽く念を押すだけで、熱燗と牛タン焼きが運ばれてくる。
 カウンターの奥には、存在感のあるご主人らしき人が背筋を伸ばして全体を見回している。目が合い、軽く会釈する。細かく動いて仕切っているのは女将さんだろう。一人でカウンターに腰掛けていると、カウンター内との間で適度の緊張感がある。
 なるほど、それなりの老舗のようで、営業コンセプトのようなものが感じられる。「雑誌等の取材はご遠慮……」の張り紙も見える。今日の材はオーストラリア産と明記されている。
 カウンターには若いカップル、男性三人連れなどが腰掛けている。カウンター内側と客の姿を眺めながら、ちびりちびり。熱燗をもう一本頼み、牛タン焼きを平らげたところで、店を出る。

 たしかこのあたりにジャズ喫茶「カウント」があるはずなのだ。今度はハモニカ横丁のように並ぶ店のお兄さんに尋ねると、丁寧に教えてくれる。
 道路から細い路地を入りこんだようなところに、「カウント」はあった。店名はもちろんカウント・ベイシーからとったものだろう。
Basie1  ドアを開けると、トランペットのとても円やか音が溢れてくる。クリフォード・ブラウンとマックス・ローチのアルバムがかかっている。空いているので、スピーカー正面に座る。壁にはカウント・ベイシーやコルトレーンの写真が飾られている。六〇年代のジャズ喫茶そのものの感じ。ただ、乱雑さはなく、きれいだ。もうあの時代ではないのだ。トイレの落書きもなかなかお洒落に書かれていて味わいがある。ここにはビル・エヴァンストリオの写真が。ベースはエディ・ゴメスの時代のもののようだ。
 ご主人はカウンターのお客とジャズ談義をしている。そこにあとから入ってきた女性も加わる。みな、シニア。そのあとアラカン風サラリーマンさんが来店し、カウンターの逆サイドに座る。金曜の夜、仕事のBasie2 あとジャズ喫茶で音を楽しんでいる様子。いい光景。こちらもしばし、ジャズの音を浴びる。とても居心地のよい空間だ。
 こうして冷え冷えの仙台の夜は更けていく。

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