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2010年12月13日 (月)

哲学の道の『高橋和巳全集』

 たまには銀閣寺へと、烏丸四条から203号系バスに乗り銀閣寺道へ。
 狭い参道には、寒い季節にも関わらず修学旅行生がまだたくさん。

 哲学の道へ出ると、道の一部は養生中とあり、ロープが張られている。反対の山側の細道をぶらりとしながら法然院へ。
 京都へやってくると必ずといってよいほど出かけるのが、大徳寺の高桐院と、この法然院。
3_3  通常は本堂拝観がないし、庭も小さい。茅葺きの苔むした小さな山門1と、そこに立つと見渡せる庭の白砂檀と池、石畳の道。ただそれだけだ。 だから人も少なく、かえってしばらく佇んでいたくなる静寂の空間。東山の山麓なので、小鳥のさえずりと、木々の葉音だけが風に舞う。落葉が庭や白砂檀、池面を飾っている。

 体が冷えてきたので、疎水へ降りてCafeTerrazzaへ。以前はアトリエ・ド・カフェという名だった。拙著『ほっこり京都時間』を執筆しているときに、オーナーが変わり、店の名も変わった。でもこの店の特色である、哲学に道に接するテラスは健在。この日はさすがに寒いので、中に入る。
Cafeterrazza  スパゲッティのセットとグラスワインの白を注文。最近は休日でも昼にアルコールを飲むことは控えているが、今日は哲学の道の冬景色を眺めながら、とワインを注文。
 体が冷えていたので、辛口の白ワインと、スープがうまい。ミートソーススパゲティもおいしくいただく。
 店内奥に置かれた書棚を覗くと、なんと『高橋和巳全集』が並んでいる。その下段には『ルカーチ著作集』がずらり。うーむ、学園闘争中に四〇前で夭折した作家高橋和巳と、ハンガリーの「マルクス主義」哲学者ルカーチの組み合わせ。勝手に解る気がして頷く。お店の関係者の所蔵らしい。おもしろいな、京のお店は。

 紅茶で食後のひととき。哲学の道を歩く観光客や地元に人の姿を眺めながら、しばしカントとへーゲルの「間」について考える。雇用が孕む問題では、カントを批判するへーゲルのほうが優れている。近代の雇用契約における「人格」の「自由」を裏付けたことになる。しかし、カントが苦肉の策で考えた「用益権」こそ、逆説的に今日の問題を考えるときのヒントを与えてくれるのではないだろうか……。

 そのあと白川通へ出て錦林車庫前から204系バスで大徳寺へ。
 境内の石畳を踏みしめながら高桐院へ。
1_2   雨で濡れた参道の石畳の両側には紅葉が散りばめられている。寒風4 が吹き抜ける客殿から南庭を眺める。雨水をたくさん含んだ苔の緑に、散った紅葉が鮮やかなコントラストをなしている。
 この庭は、他の石庭と違い、人造物は石灯籠がひとつ立つだけ。あとは木と苔だけでかたちづくられている。それだけの庭だ。石庭のようにあれこれ考えさせようとする押しつけはまったくない。それがかえって魅力なのだろう。いつ訪ねても、耳には必ず木々のざわめき、小鳥たちのさえずりが聞こえる。
3_4  もう一度強い通り雨がやってきて、やむのを待つ。すっかり体は冷えこむ。ようやく雨があがり、高桐院を出た。

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