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2009年12月12日 (土)

つくば六所の古民家

 見覚えのある風景と建物の写真が載っていた。先日、新聞に挟みこまれていたフリーペーパー「リトルヘブン」(山田養蜂場刊行)の紙面上でのことだ。この春亡くなった編集者入澤美時さんが再生した、つくばの六所の古民家の姿で、その広い敷地で舞いが催されているものだった。後方の古民家二階から舞いを観る人の姿も写っていた。
Rokusho2  そこは、かつてボロボロで廃墟同然だったのだが、二重梁の美しさに魅せられた入澤さんが、紹介してくれた建築家安藤邦廣さんと組み、茅葺きの素材を自分たちで揃えて屋根を葺きなおし、改築して二年半ほど前に再生させたものだ。

Rokusho1  六所の古民家を訪ねたのは、ちょうど一年前のことになる。入澤美時さんが『東北からの思考』(新泉社)出版記念パーティをそこで開いたときだった。
 冬近い冷えこみの強い日、昼から開かれた集いは、地域で採れた野菜料理などが並べられる大皿の前で、土地の酒やワインで乾杯があり、共著者である森繁哉さんの舞踊が庭で演じられた。
Rokusho3  そのあたりから、冷たい雨が降り出し、酒宴は古民家のなかで暖まりながら進められた。

 わたしは、同じく参加していた旧知の友人とずっと酒を飲みながら語りあっていた。そこを退いたのは午後八時ごろのことなので、六時間以上ずっと日本酒を飲み続けたことになるが、旨い酒だった。酒もよかったし、古民家の醸す雰囲Rokusho4 気もよかったし、六所の空気も美味しかったからだろうが、なにより、たくさんの参加者に応対する入澤さんの笑顔がよかったせいだろう。
 それから数ヵ月後の今春、入澤さんは急逝してしまった。

 さて、その六所の家が、入澤さん亡きあと縁あって、別の方に引き継がれたようだ。「リトルヘブン」掲載の写真を見ると、集落の人たちが集うなかで、庭に設けられた舞台で舞いが奉納されている。
 こうして「人々の交流の場」として生き続けていることがうかがえるシーンを誰よりも喜んでいるのは、六所の家を再生させた入澤さんだろう。

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安藤さんから「茅葺き」といわれた瞬間、この家は僕のものではなくなるなと思いました。当初から、人の集まる書斎=梁山泊(りょうざんぱく)と考えていましたが、いまやもしかしたら、集落の公民館かもしれません。
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 Slownetの取材でこう語っていた入澤さんにとって、その想いが引き継がれたかたちだ。

◎リトルヘブン記事
http://www.3838.co.jp/littleheaven/200912/index.htm
◎Slownet記事
http://www.slownet.ne.jp/sns/area/life/reading/interview/200902010942-9275541.html
◎『東北からの思考』
http://toyodasha.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-1b27.html

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