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2009年9月 7日 (月)

茂田井武展(神奈川近代文学館)

 茂田井武展「子どもたちへの贈りもの」が、横浜の港の見える丘公園脇にある県立神奈川近代文学館で開かれているということで出かける。
 休日の午後、みなとみらい線の元町・中華街駅で初めて降りる。改札からエスカレーターを何度か登ると、出口が公園の入り口になっている。かつては、元町から細い小径を登っていったものだが。

 文学館に向かう途中、ふだんは門が閉ざされた横浜外人墓地の一部がこの日は公開されている。
Yokohama1Yokohama2Yokohama3Yokohama5     入口でカンパをして中に入ると、傾斜地に無数の墓が並んでいる。ボーイスカウト創設者や、フェリス女学院校長、英国横浜総領事、フランス菓子職人、新約聖書最初の全文和訳者等々外人さんたちの、思い思いの造型の墓を、案内図を手に回ってみる。

Yokohama4  今回の茂田井武展(神奈川近代文学館主催)は、茂田井武生誕100年の催し最後を飾るもので、ゆったりしたスペースに、これまでは展示されなかった作品やエピソードも紹介されている。
 実家の東京日本橋に三代続く旅館「越後屋」が関東大震災で焼け、不遇な青春を送るが、二十歳を過ぎてシベリア鉄道でパリへ向かう。途中車中で始めた似顔絵描きが人気で小銭をたくさん手にするが、外貨を車外に持ち出せないことがわかり、車中の食堂で散財したとか、厳しい生活を強いられていたはずなのに、小学館児童文化賞児童絵画賞受賞の賞金を全額寄付しようとして周囲から制止され、半額にしたことなど、作家の一面を知る面白いエピソードが、作品の合間のパネル展示で紹介されている。
 茂田井武の軌跡を辿り、作品と三人の子どもたちへの想いをゆっくり味わうことができる。 (同展は2009年9月27日まで)

 隣接するコーナーでは、「文学の森へ 神奈川と作家達」展。太宰治、三島由紀夫、大岡昇平、石原慎太郎から、村上龍らに至るまで、神奈川にゆかりの作家たちの品が展示されている。

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» 『いつかモイカ河の橋の上で』 中野吉宏 著 (第三書館) [エルミタージュ図書館]
 副題は「会社を休んで59日間 地球一周」とある。  大学を出てフリーターをしながらお金を貯め小さな会社をつくった30代後半の男。一生懸命働くものの不景気も手伝い気持ちは空回り。ちょっとした出来事がきっかけとなり、突然、仕事を放り出し、大学時代以来2回目の海外旅行に出る。出発は大阪港からフェリーで上海へ。そこから鉄路シベリアを経由しロンドン。さらにアメリカも東海岸から西海岸まで大陸横断鉄道で移動し、成田へ。仕上げは「ムーンライトながら」だ。  道程も、日々、仕事に追われるサラリーマンにとっては魅... [続きを読む]

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