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2009年4月22日 (水)

清水へ祇園をよぎる桜月夜

~京の桜~

 かつて鞍馬口通に住んでいたとき仁和寺へは、自転車で出かけるか、北野白梅町から京福北野線で御室駅で降りるルートだったが、この日は京都駅からJR嵯峨野線に乗ることに。
 本数が少ないのに驚く。30分近く待った京都駅始発の車内は、嵐山まで出かけるらしい観光客で座席はいっぱい。私の前には、ドイツ人らしい男性と日本人の高齢カップル。
 ほとんど降車する人のいない花園駅で降り、双岡と妙心寺の間の民家立ち並ぶ道を抜けて、仁和寺へ。

Ninnaji  ふだんは境内は自由に参拝できたはずだが、桜の季節になると、入山料を納めなくてはならない。
 平日でも人出は多かったが、御室桜はこの日はまだ一分先。
 金堂は桃山時代に建てられた京都御所の紫宸殿を江戸時代初期に移築したもの。桃山期らしい様式が感じられる。

Kinkaikoumyouji 桜名所はどこも人が多そうなので、次に真如堂へ向かう。荒神口でバスを降り、荒神橋から鴨川を渡り近衛通を抜けて歩き続ける。真如堂にはうまく出ず、金戒光明寺の西側に。
 真如堂、金戒光明寺、その北の吉田山周辺は、道が入り組んでいて、目的地になかなか行きづらいエリアだ。
 これもよしと金戒光明寺の境内を歩く。人がほとんどいないのが救い。

Minamiza  夕暮れ、祇園白川へ。四条大橋に立つと、南座の上に満月Sirakawa1_3 が上がる。
 祇園白川は、ライトアップの桜を見にくるガイジンさんが多い。白川沿いの料亭の灯りが夜桜に彩りを添え、その先の空には満月が。

Sirakawa2_2  清水へ祇園をよぎる桜月夜
  こよひ逢ふ人みな美しき  
     (与謝野晶子 『みだれ髪』)

 壹錢洋食のある縄手通にまでフーゾクの店が進出している。その手の看板、写真がデカデカと並んでいる。以前はなかった、と記憶している。

Goshosakura_2   翌朝、御所の近衛邸跡の枝垂れ桜へ。仮住まい時には何度か訪れた桜だが、まだ健在だった。

★京都の桜景色★

 仮住まい時代の京都、桜景色。とくに印象に残るところ。

・祇園白川から見上げる夜桜
・茶店縁台に腰掛け熱燗あおりながら眺めた円山公園の枝垂れ桜
・駒井邸近く、北白川疎水沿いの桜並木
・賀茂川堤、出雲路橋から北への桜トンネル

2009年4月18日 (土)

笠井潔『例外社会』

 たいへん刺激的な論考である。700ページに及ぶ大著だが、一気に読むことができる。
Reigaishakai_2  古来の社会思想・哲学から最近の若い世代の論考にも目配りし、格差社会の現況、2008年の秋葉原通り魔事件、金融危機にまで触れている。
 2003年に刊行された東浩紀、笠井潔両氏の往復書簡をまとめた『動物化する世界の中で』は、二人のやりとりが噛みあうことなく閉じられていたし、探偵小説世界には疎い私は近年の氏を心配していたが、それは杞憂で、著者の現在の力をしっかりと感じさせてくれる。あとがきで、笠井さんは「本書は、わたしの側からする往復書簡への応答である」と記しているが、たしかに十分な応答になっている。

 1984年に出された『テロルの現象学』は、連合赤軍事件や左翼党派の観念力学をみごとに抉る労作だった。当時ほとんどの論者が迫りえない観念の問題に肉迫するものとして屹立していた。
 ただ、当時いまひとつ即座に首肯しえなかった「集合観念の象徴的暴力」が、今回の『例外社会』でも「千年王国主義運動」というかたちで継承されている。「神的暴力」「敵の名指し」も含め、このあたりは私にはすんなりとは入ってこない。
 とはいうものの、千年王国主義運動論を主に展開させた第3部(最終部)の「群衆論」がもっとも刺激的で、この大著も「千年王国主義運動」希求を措いては存在しえなかったのだろう。市場のとらえ方、贈与にたいする交換の対置も含め、さらにじっくり対話するだけの価値は十分もっている論考だ。

 編集者的視点からひとこと。
 700ページあるということは、ページを開いたとき書籍のノドを大きくとられる。
 だが、ノドのアキのとり方はふつうのヴォリュームの書籍同様の10ミリか10ミリ少々しかとられていない。ページを移るたびに、首を傾けたり、手で強く小口を押さえなければならない。シニアには肩が凝るし、疲れる。本の内容には疲れないが、読むときの肉体が疲れる。担当編集者の配慮が薄かったのが残念。
 (朝日新聞出版刊)

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