« 恥ずかしながら 初体験 | トップページ | 茂田井武の世界 »

2006年12月 2日 (土)

上山高史さんのライブ DUG閉店

 定年後に“三度目”のデビューを果たした異色のジャズ・シンガー上山高史さん。まもなく70歳を迎える。
 数年前仕事で取材をさせていただいたことがあり、以降、東京でのライブにはときどきお邪魔している。
 三度目というのは、まず一度目がボーイソプラノ時代。戦後NHKラジオ「鐘の鳴る丘」を高らかに歌った、そう、皆が聞いたことのある声が上山少年だった。
焼け跡の日本で全国の少年少女が励まされた曲だ。
 変声期を迎えて引退。
 つづいて二十歳前にザ・ヒット・パレードで学生ジャズシンガーとして再デビュー。しかし卒業して就職とともに歌手を引退。長いこと、サラリーマン生活を送ってきた。
 そして満を持して定年後三度目のデビューということになる。

Img_0078_1   その上山さんのライブが11月23日夜、新宿であった。会場となったDUGはこの日は満員。もう狭い空間までぎっしり。上山人気の広がりもあるのだが、満員盛況の理由はもうひとつ、このDUGがこの年末で店仕舞いするからでもある。
Murakamisekai_1  オーナーの中平穂積さんがそろそろここを閉めるそう。
 DUGといえば、1960年代にオープンした新宿ジャズの老舗。中平さんはカメラマンとしても活躍し、店にはジャズプレイヤーの写真も飾られている。
 60年代、70年代にはよく通った。まだ紀伊国屋書店の脇のビルの地下にあったころだ。
『ノルウェイの森』の中で、村上春樹さんは珍しく「DUG」という固有名詞を登場させている。小説の中で実在の店名を出すことは、ほとんどないのに。

Murakami2   私が構成・取材・執筆した『探訪村上春樹の世界』をつくるとき、カメラマンの齋藤郁夫さんを同行してDUGを取材させていただいた。そのときは、すでに紀伊国屋書店脇の店はなくなり、別のビルの4階に移っていたが、取材は靖国通り沿いにできたnewDUGのほうでお願いした。旧DUGの雰囲気をnewDUGがよく残していたからだ。中平さんが丁寧に応対をしてくださった。

Dugmark_1  この空間でのDUGは今年で店仕舞い。来年からは近くにあるnewDUGをDUGとして再スタート。これまでも店を切り盛りしてきたご子息が店を継ぐという。息子さんはこの日も店内で元気に活躍していた。

 さて、DUGの話が長くなってしまったが、ぎっしりの店内で上山さんのライブが始まった。バックはピアノの田村博さん、ベースは山下弘治さん、ドラムスは吉岡大輔さん。
 リクエストに応えた「ブルー・ムーン」もよかったが、いちばん心を揺さぶられたのは、「ゴールデン・イヤアリングス」。マリーネ・ディートリッヒ主演映画の主題歌のよう。しっとりと歌い上げられた。
 こういう言い方は大先輩に失礼かもしれないが、定年後サード・デビューの上山さん、歳を重ねるごとに歌はますます円熟味を増している。場数もあるのだろうが、人生というものは、とどまるところなく深みを湛えるものだ。
 合間のトークもどんどん滑らかに。ちょっぴり毒を含んだユーモアで客席の心を放さない。

Img_0073  最後は、中平オーナーの呼びかけて、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」を皆で歌う。

 当然年輩の客が多かったが、若い人も混じり、なかなかいいライブのひとときだった。 DUG、中平さんのこと、上山さんの歌と人生、そして観客……そんなすべてを丸ごと優しく包みこんで。

« 恥ずかしながら 初体験 | トップページ | 茂田井武の世界 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/75319/4395057

この記事へのトラックバック一覧です: 上山高史さんのライブ DUG閉店:

» 平均年齢57才のおじんライダーです。 [おじんず・バイクライダー]
平均年齢57才のおじんライダーです。 ちょっとお腹はふくらみぎみですが・・・ライダーのマナーは今の若い奴等にはに負けてませんよ! 毎日の生活にお役に立ちますように・・・・ [続きを読む]

« 恥ずかしながら 初体験 | トップページ | 茂田井武の世界 »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ