« 蛍火の茶会 | トップページ | 鴨川と賀茂川 »

2006年6月16日 (金)

アートシアターギルド 京都で

Atg3  ATG Film Exhibition。京都造形芸術大学が主催し、同大学の芸術劇場でアートシアターギルドの作品が4本上映される。
 1960年代から70年代にかけて自立的な映画創作活動を支えたATG(アートシアターギルド)。最終日11日(日)の「天使の恍惚」を観に出かける。
 ちなみに8日は寺山修司の「書を捨てよ町に出よう」、9日は大島渚の「新宿泥棒日記」、10日は松本俊夫の「薔薇の葬列」だ。

P1010040

 京都造形芸術大学へは初めてだ。
 自転車に乗り、鞍馬口通を東へ。下鴨神社を抜けて、東大路通と叡山電鉄踏み切りを超えると、突き当たりに見える建物が京都造形芸術大学。
 ホールには当然学生さんが多いが、60前後のおっさんら(わたしもだ)の姿もちらほら。なんといってもATGのイベントだから、そういうことになる。

 11日は若松孝ニの「天使の恍惚」。
 若松孝ニさんといえば、1960年代後半から70年代にかけて、独特のピンク映画で知られた作家(映画監督)だったが、それなりに人気があり、大学構内でもよく上映されていた。
「壁の中の秘めごと」「犯された白衣」あたりは観ていたが、「天使の恍惚」はまだだった。制作は1972年。ちょうど連合赤軍事件が起こる直前のことだ。

 紹介パンフレットには次のようにある。
========
若松孝二監督が東京総攻撃を計画する革命軍・四季協会のメンバーが都市ゲリラ戦を展開する姿を描く。公開直前に劇場の近くにある交番が爆破されるなど「テロ」を助長する作品だとスキャンダルを巻き起こした話題作
========

 1970年前後の性と武装闘争的政治世界を描いた、ということになるのだろうが、90分の上映が終わり、うーん、とうならざるをえなかった。
 若松監督の世界にはある種の幼児性があった。もちろん幼児性って誰でも抱えているのだし、それを武器にすることもあっていいのだが、この人の作品では、性とのからみでそれが顕著。といったことを今回の映画を見て、改めて思う。

 性愛と革命(武装闘争)が曖昧につなげられている。そのぶん性愛描写は貧しく、呼応するように、革命(武装闘争)も貧しい。
 性のシーンに必然は感じられない。
 革命の中味が問われることもない。なにしろ閉じられた党の軍事部隊内のできごとだ。閉じられた世界の観念的ことばが空疎に飛び交うだけだ。

 性愛の世界の貧しさ。俳優の演技も、そして性愛の行為も、なんだかとても画一的で貧弱だ。全裸で交わる男女のシーンは何回出てきたろう。もたれあってマスタベーションをするシーンもある。必然なんて感じられない。
 性愛が貧しいだけでなく、裸体もメリハリがない。

 もちろん時代の制約もあり、全裸での交わりを当時描くことの制約もあったろう。でもあえてそういう方途を選んだうえでの話だから、もっと豊かな性愛があってもいい。
 あるいは権力に追い詰められ、情況から孤立している貧しい性愛を描きたかったのだろうか。でも、貧しさが哀しみとして対象化され浮き彫りにされるわけでもない。
 性愛と反権力闘争の相互規定的な貧困。

 性を描くということで、話題を呼び、興行数字を上げたいのかもしれない。それ自体に異を唱えるつもりはまったく。いや、それはどうでもよい。作品が作品として輝いていれば。ようするに映画作品としてさみしいものといわざるをえない。

 アートシアターギルドは、1960年代ずいぶん優れた作品をプロデュースし、大きなムーブメントになり私も影響を受けた。
 そして、新宿アートシアターで上映された海外映画には決定的な影響も受けた。ゴダールはじめヌーベルヴァーグなどの上映。
 そのプロデューサーであった葛井さんがこの作品もプロデュースを手がけたという。またまた、うーむ。
P1010051

 というようなことを、帰りに賀茂川縁のベンチに腰かけ、風に吹かれ、川のせせらぎに耳傾け、散歩する人たちを眺めながら、思う。

 ここには観念をめぐる問題がある。テーマがちょっと重くなるので、続きはこちらへ
(toyodasha>知の岸辺)

« 蛍火の茶会 | トップページ | 鴨川と賀茂川 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/75319/2238921

この記事へのトラックバック一覧です: アートシアターギルド 京都で:

« 蛍火の茶会 | トップページ | 鴨川と賀茂川 »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ